
こんにちは、シンです。
今回は浜松市天竜区水窪町の山住神社に参拝してまいりました。
山住神社の基本情報
所在地:静岡県天竜区水窪町山住230番
社格等:旧県社
創 建:和銅2 (709) 年
例 祭:4月17日 (春の大祭)、11月17日 (秋の大祭)
2025年5月21日 (水) 訪問
御由緒
和銅2 (709) 年に伊予国の大山祇神社から大山祗神を勧請し、祀ったのが始まりとされます。元は芽原川内神社と言い、明治5 (1872) 年に山住神社に改めました。
鎮座地も点々としていたようで、勝坂、門桁、気多の宮川ののちに現在の場所に移ったそうです。これら地名はいずれも現在地より東の気田川側になるので、今の水窪町よりは春野町との結びつきが強かったのではないでしょうか。
御祭神
大山積命 (オオヤマツミノミコト)
山の神。ご利益は豊作、豊猟、豊漁。
伊奘冉命 (イザナミノミコト)
イザナギの妻、国生みの神。ご利益は子宝、安産祈願。
速玉男命 (ハヤタマノオノミコト)
イザナギが黄泉の国でイザナミに別れの誓いを立てて吐いた唾から生まれた神。
ご利益は厄払い。
事解男命 (コトサカノオノミコト)
イザナギが黄泉の国でイザナミに別れの誓いを立てて吐いた唾を、イザナミが掃き祓って生まれた神。
ご利益は悪縁の断ち切り、万事解決。
山住神社にまつわる言い伝え
家康公を助けたお犬様
奥三河〜北遠地域は元来より山犬 (狼) 信仰が盛んな地域でした。山犬は畑を荒らす猪等の害獣を追い払ったり狩ったりしてくれる人の生活を守る存在で、神の使いとか神聖な存在として崇拝されていたようです。
のちに天下人となった家康公もお犬様に助けられた一人でした。武田軍との戦い敗れて家康公がこの地に逃げ込むと、山犬たちの大きな声が山全体を鳴動させ、武田の追手を退散させました。
助けられた家康公はその後、戦勝祈願として2本の太刀を山住神社に奉納したようです。そんな縁もあってか、山住神社は三つ葉葵の紋を使っています。
山住・秋葉山・春埜山の3枚お札で悪霊退散?
火防の神様として有名な秋葉山、そして山住神社と同じく山犬信仰の春埜山、そして山住神社を含めた3枚のお札を手に入れると、狐憑きや魔障を除くのに絶大の効果があるようです。
一説では秋葉山と春埜山は山住神社の里宮であり、この3つは密接な関係性があったんだとか。秋葉山には三尺坊、春埜山には太白坊という天狗様が鎮守として祀られていますが、元はここ山住神社の修験者だったのでしょうか。
ちなみに三尺坊大権現は明治の神仏分離令の折に秋葉神社から袋井の可睡斎に移られています。
境内の紹介
社殿 (拝殿・本殿)
参道正面にないため、撮影に難儀しました (こういう時マイクロフォーサーズはつらい)。
側面から。
左の拝殿からすり上がるように本殿が配置されています。
拝殿の彫刻は平家物語の一場面、鵺退治の様子だそうです。話の舞台は京ですが、鵺を退治した弓の達人・源頼政は伊豆長岡、お供の猪早太は三ヶ日町と、二人とも今の静岡県出身だったようです。
御神木
境内中央の御神木である2本の山住杉は樹齢1300年でとにかく巨大。静岡県の天然記念物に指定されています。良質で有名な天竜杉を作り出す林業は、約300年前にこの神社から始まったとされています。
鳥居
入り口に戻って鳥居です。
狛犬
通常の獅子のような狛犬ではなく、山犬 (狼) なのが山犬信仰であるこの神社最大の特徴です。
狼というとシベリアンハスキーのような風貌を思い浮かべますが、ニホンオオカミはもっとも犬に近い存在であるとゲノム解析によって証明されています。なので「これ犬じゃないの?」と感じるこの狛犬、忠実にニホンオオカミなんでしょうね。
ちなみに山犬はニホンオオカミと犬との交雑種とも言われています。ニホンオオカミは絶滅しましたが、ここではない場所でニホンオオカミらしき生物の目撃事例が報告されているので、もしかしたらここ山住神社にニホンオオカミが戻ってくる未来があったりして。


神門
狛犬と神門による厳重な二重セキュリティで境内への入場をしっかり監視しています。
神門を飾る彫刻は獅子、龍、鳳凰かな?





手水舎
いつも清め方の順序が分からなくなってしまうので、この看板はありがたいです。
摂社・末社
本殿のすぐ隣にあったのがこちらの建物。中には神明宮と高根明神と書かれた祠がありました。


そしてその隣には「御祭神正麿大神」が祀られている祠がありました。京都の神道吉田流吉田神社という格式の高い神社に生まれた子が5歳の時に山住家の養子として迎え入れられたのが山住正麿。大正7 (1918) 年にお亡くなりになられ、信仰深かった豊橋市二川町の男性がこの祠を建立しました。神様としてはかなりお若いですね。
さらにこの隣にずらっと長屋の如く摂社が並んでいたのですが写真を撮り忘れてしまいました。
御朱印・御札
御朱印は御朱印帳を持っていなかったのでもらっていません。これでまた行く理由ができましたね。
御札はお犬様と常光神の2枚を入手。常光神も三尺坊、太白坊と同じく天狗様のように見えます。もしかして遠州七天狗を束ねる大ボスなのでは?と勘繰ってみたりして。狐憑きや魔障を除くために春埜山と秋葉山の御札も入手しなければいけません。
常光神の御札には奥院と書かれています。常光神を祀った祠が近くにあると聞いたので場所を教えてもらい行ってみました。
鳥居を出て天竜スーパー林道を野鳥の森方面に100mほど歩くと下の「常光神←」という看板が出てきます。
細く急な坂を気をつけて登っていくと鳥居と祠が見えてきました。
木が生い茂っていて目視はできませんでしたが、この社の先に常光寺山があります。常光寺山は山住神社の奥宮らしいので、ここはその遥拝所的な存在でしょうか。
まとめ
山の神の大山積命が祀られている山住神社。深い森の巨木に囲まれた境内は静かで神聖な空気が漂い、2体の山犬がその平穏を守っていました。山犬 (狼) が人の生活を守ってくれる聖なる存在であるという山犬信仰、まるでもののけ姫の世界に入り込んだかのような場所でした。
以上、山住神社の紹介でした。